第38回(1/31) 男と女は基本的に脳の働きが異なる。 アメリカのジョングレイという作家は、男は金星から、女は火星からやってきた、と、述べている。 彼は著書の中で、男と女の脳の構造の違いを指摘、互いを完全に理解し合うことはおよそ不可能であると記している。 富由美は基本的に集団行動が苦手で... 続きをみる
2020年1月のブログ記事
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第37回(1/29) 子供や孫がいれば彼らの成長とともに、年を重ねる自分を認識しざるをえないだろうが、彼らがいない富由美は、鏡で自分の顔さえ見なければ、まだ高校生のつもりでいる。 「ラクダ乗り楽しかったです。まるで自分が砂漠の国の王子さまになったような気分でした」 「よかったわ」 伊吹も富由美... 続きをみる
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第36回(1/27) 伊吹と富由美は夢が丘動物園のアフリカゾーンにいる。 あれから富由美はどうやったら伊吹と近づけるのか、と、色々と考えた。結果、伊吹が江戸歩きの会で、動物園は気が休まるから好き、との言葉を思い出して、夢が丘動物園に誘ったら、快くOKの返事がきたので、早速、動物園に行く日を決め... 続きをみる
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第35回(1/25) 「次回の江戸歩きの会には参加できますか?」 「はい、参加できます」 「あぁー、よかったぁー。みなさん、伊吹さんがいない江戸歩きの会はつまらないと嘆いてますから」 「そぉーですか、僕のような者でもこの世で、少しは存在価値がありますか」 「存在価値、大ありですよ。江戸歩きの会は、... 続きをみる
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第34回(1/23) 真央と別れた富由美は、結婚未経験の自分は子供も孫もいないのが寂しいといえば寂しいかもしれないが、ずっとこうして生きてきたわけだから、今更、寂しい、寂しい、と、泣き叫んでも誰も振り向いてくれるわけでもなしで、ならば、寂しさと共存していくしかない、と、思う。 それにしても、... 続きをみる
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第33回(1/21) 「それで、結局、結論はどぉーなったの?」 富由美が真央に問うた。ふたりはいつも会う場所、夢が丘駅近くの喫茶店、田園にいる。 「で、結局、結論はね、おかげさまで、どうやら、元のさやに納まったようよ。あたしたち夫婦もそぉーだったけど、どんなに夫婦仲が悪くても、そんなこと、子供に... 続きをみる
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第32回(1/16) 「嫁さん、すぐ、駆けつけてくれるって」 「良かったわね」 幼児にとってママは我が命である。孫は孫なりに今の自分はひとの助け、特に母親の世話なしでは生きていけないことを察しているのだろう。 ところで、幼児にとっての父親だが、自分の衣食住を満たしてくれない父親などどうでもいい... 続きをみる
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第31回(1/14) 悠太と孫の後ろ姿に目を細めていたその時、突然、四歳の孫が悠太の手を離れて走り始めた。 目の前が公園だから、悠太がここまで来れば、と、手を離したのだろう、と、思った次の瞬間、孫の体が前のめりになって、両手と両膝を地面について、転んだ。 孫は一瞬我が身に何が起こったのか解... 続きをみる
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第30回(1/11) 素顔でも見られる顔だったし、店に並んでる好みの服を試着すれば、よく似合い、この服は私を待っていた、と、思うことがたびたびだったが、今はどんな服もこの顔、この体型には似合わなくなっている。 若い時分はパートで働いていたので、自分の稼ぎは自分で自由に使えたので、身に着ける物は... 続きをみる
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第29回(1/8) 嫁と悠太と真央は険悪な雰囲気が漂う沈黙を続けている。 と、その時、玄関から、「パパ!お話済んだの? 公園に一緒に行こうよ」子供の明るい声がリビングに飛んできた。 その声に悠太がソファーから腰を上げて、「あぁー、終わったよ、今行くから」と、リビングから立ち去った。 嫁と残... 続きをみる
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第28回(1/6) たぶん、嫁の次なる言葉は、「親が口出し、するな!」だろう。 冷ややかな視線を投げつけた嫁に、真央は更に冷ややかな視線を返す。 視線を正面に座っている悠太に移動すれば、女ふたりのバトルなんぞ自分には関係ない、という顔で、知らん振りを決めこんでいる。 その優柔不断な態度... 続きをみる
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第27回(1/4) その生活が良かったのか? と、尋ねられても、いいも悪いも、あたしらの時代、女は夫が嫌でも我慢して結婚生活を続けるしか生きる術がなかった。 リビングのテーブルの上にはスーパーで求めたであろう握り寿司のパックがみっつとペットボトルのお茶が三本おいてある。 「お母さん、お昼ですか... 続きをみる
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第26回(1/2) 日曜日の昼下がり、テレビは正午のNHKのニュースに続いて、のど自慢をやっている。 うららかな外出びよりだ。悠太宅のリビングには太陽がさんさんと降り注いでいる。 リビングの前は庭で、花壇の色とりどりの花たちが太陽の光を浴びて輝いている。 「きれいな庭だこと、よく手入れされ... 続きをみる