第62回最終回(7/9) エピローグ(その3)春子 春子が自宅に戻ると夫の昭夫が相も変わらず苦虫を噛み潰したような顔で、家のど真ん中、リビングの長椅子に深々と腰かけて、目をテレビに向けていた。 「ただいま」と声をかけると、視線の先はテレビ画面のまま、「帰ったのか」と、心ここにあらずの声で返事を... 続きをみる
2020年7月のブログ記事
-
-
第61回(7/6) エピローグ(その2)真央 自宅マンションに戻った真央は古希三人娘のやりとりを思い返してにやにやしていた。 コロナ渦になってから某スポーツクラブで集団感染が発生したため、スポーツクラブに足を向ける気にならず、世界中がコロナ渦となっている今、生きがいだった海外旅行にはいつ行か... 続きをみる
-
第60回(7/3) エピローグ(その1)富由美 自宅に戻った富由美は久しぶりに古希の三人娘で会った余韻に浸っていた。 「お母さん、今日はとっても楽しかった。お母さんが亡くなってから、家であたしただひとり、いつも胸には寂しさが渦巻いてるけど、それはあたしが勝手に未婚の人生を選んだんだから、しかた... 続きをみる
-
第59回(7/1) 「で、話はまた変わるけど、伊吹さんとあたし、十年後にひとつ屋根の下で暮らす約束をしたのよ」 「えっ! 十年後って! 八十歳になっちゃうじゃないの!?」 「その時、ふたりの男と女はこの世に存在してるのか、それが問題だわ」 富由美の唐突の打ち明け話に真央に続いて、春子もあきれた顔... 続きをみる